広い意味で、印刷とは原稿・組版・製版・刷版・印刷・製本という過程を経て、印刷物を形にすることを総称していうが、ここでは刷版された印刷用の版を印刷機械に取り付け、紙などの被印刷物に転写させる複製技術のことを『印刷』という。
印刷方式には、凸版・凹版・平版・孔版などがあるが、現在では大半が平版(PS版)を使ったオフセット印刷が主流を占めています。
オフセット(off set)印刷とは直接紙にインキを転写させるのではなく、一度ブランケットに写し取った後、紙などに間接的に転写するため、このように呼ばれています。また、印刷機には使用する紙によって2通りの方式があります。
枚葉機(まいようき)とはシート状に断裁された用紙を一枚ずつ印刷する方式で、制約が少なくいろいろな印刷物に対応できる印刷機です。
また、輪転機(りんてんき)は別名オフ輪と呼ばれ、ロール上の用紙に印刷する方式で、制約が多いが、高速・大量印刷に優れた印刷機です。
このように、印刷物は作成する仕様(部数・色数・仕上げサイズ・納期等)や、求める品質により使用する印刷機が異なってきます。どちらの方法も一長一短があるため、発注しようとする印刷物が、どちらの印刷機に適しているのかを、判断する必要があります。以下の点を頭に入れて判断するとよいでしょう。
☆ 色数…
小型印刷機(A3以下の印刷機)は、一般的に単色機が多いのでカラー印刷には不向きとされています。ただし、最近は小型の4色機の出現により、この問題を徐々に解消されてきております。
☆ 特別色…
輪転機は原則として特色(金・銀・蛍光色など)を使った印刷はできません。
☆ 数量…
大量印刷物は輪転機の方が、枚葉機よりもスピードに優れるため、輪転機の方が向き、逆に少部数の場合は枚葉機が向きます。
☆紙厚…
枚葉機は比較的紙厚に難は無いが、輪転機は厚い用紙(78kg超)は不向きです。
【印刷料の積算方法】
別表の印刷基本料金を参照してください。
1.基準となる用紙は上質系・中質系・コート系のA判28.5〜86.5kg(四六判45.0〜135.0kg)とする。
2.使用するインキはY・M・C・Kのセットインキとする。
3.( )内は1色・1版あたりの最低基準料金。基準以下の数量の場合は同一料金。
4.別表は東京地区料金を表示しておりますが、各地区によって異なります。
《ア》最低枚数に満たない場合
最低基準料金×台数(色数)+割増料=印刷料(ア)
《イ》最低通し枚数を超える場合
通し枚数×通し料金×台数(色数)+割増料=印刷料(イ)
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通 数
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B1
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A1
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B2
|
A2
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B3
|
A3
|
B4
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700
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−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
(2,100)
|
1,000
|
−
|
−
|
(3,900)
|
(3,600)
|
(3,300)
|
(2,500)
|
(2,100)
|
2,000
|
−
|
(3,900)
|
2.44
|
2.26
|
2.09
|
1.6
|
2.30
|
3,000
|
(3,900)
|
2.14
|
1.95
|
1.80
|
1.68
|
1.28
|
1.17
|
4,000
|
2.41
|
1.87
|
1.71
|
1.57
|
1.48
|
1.12
|
1.03
|
5,000
|
2.30
|
1.70
|
1.56
|
1.44
|
1.36
|
1.03
|
0.95
|
8,000
|
1.89
|
1.45
|
1.34
|
1.23
|
1.17
|
0.89
|
0.82
|
10,000
|
1.79
|
1.37
|
1.27
|
1.16
|
1.11
|
0.84
|
0.78
|
20,000
|
1.58
|
1.21
|
1.13
|
1.03
|
0.99
|
0.84
|
0.78
|
30,000
|
1.51
|
1.15
|
1.08
|
0.98
|
0.95
|
−
|
−
|
40,000
|
1.47
|
1.12
|
1.05
|
0.96
|
−
|
−
|
−
|
50,000
|
1.47
|
1.12
|
1.04
|
0.94
|
−
|
−
|
−
|
|
通 数
|
B2
|
A2
|
B3
|
A3
|
B4
|
300
|
−
|
−
|
−
|
(1,200)
|
(1,100)
|
500
|
−
|
(2,100)
|
(1,800)
|
3,20
|
2.90
|
800
|
−
|
3.48
|
2.99
|
2.73
|
2.90
|
1,000
|
(3,900)
|
3.25
|
2.88
|
2.57
|
2.47
|
1,500
|
3.28
|
2.95
|
2.55
|
2.36
|
2.14
|
2,000
|
3.28
|
2.80
|
2.43
|
2.26
|
2.05
|
2,500
|
3.02
|
2.71
|
2.35
|
2.19
|
1.99
|
3,000
|
2.95
|
2.65
|
2.30
|
2.15
|
1.85
|
4,000
|
2.87
|
2.58
|
2.24
|
2.10
|
1.90
|
5,000
|
2.82
|
2.53
|
2.20
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2.07
|
1.87
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印刷の積算例その1
(印刷物の仕様 仕上A4版チラシ・片面4色刷×20,000枚)
〇A2印刷機で印刷の場合
面付けの項の図のように、A2(菊半裁)にはA4判が四面付けることができる。
よって、一色あたりの通し数は20,000枚÷4で5,000通しとなる。
計算式
1.通し枚数 5,000×2.通し料金1.44×3.色数4+4.割増料0=5.合計34,800円
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印刷の積算例その2
(印刷物の仕様 仕上B5版文字主体頁物・両面1色刷×100頁×3,200部)
〇B3印刷機で印刷の場合
面付けの項の図のように、B3(四六4裁)にはB5判が4頁面付けができる。
よってこの場合、印刷台数は、本文は100頁なので、一台あたり4頁の面付けができるため、印刷台数は100÷4=25台である。
(なお表紙の印刷は仕様によって別途に計算することをお忘れなく)
計算式
1.通し枚数3,200×2.通し料金2.30×3.印刷台数25+ 4.割増料0=5.合計184,000円
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